HISTORY

真下商事は、創業者である真下信蔵氏が中国・大連市で貿易会社と高級百貨店「浪華洋行」の経営に携わったところから始まりました。戦前は景気が良かったようですが、戦火の波にもまれ、1945 年には大連で 90 日ほど投獄されるという苦難もありました。ほとんどの資産を失い、信蔵は丸裸同然で日本に引き揚げてきたと聞いています。

帰国後、知人の力を借りて東京日本橋に大連の経験を活かした貿易会社「真下商事株式会社」を設立しました。そこで最初に扱った商品はネクタイでした。ネクタイは場所を取らず、単価や利益率が高いことを見極めての選択だったのでしょう。貿易自由化以前に、浪華洋行で取引のあった海外のブランドに赴き、多くの商品を仕入れました。

戦後まもない時期では、高価なインポート商品など売れないと思われがちですが、実際には日本橋三越の特選を始め銀座の有名店などにマーケットがあり、信蔵は、付加価値の高い商材を扱うことに迷いはなかったようです。つい質の悪い商品を仕入れてしまった際には、「仕入れのミスが会社をつぶすんだ」と叱ったものです。信蔵は多くの商品を見て、その商品の本質を見抜く力を備えていたのです。

その後、真下商事は、「John Smedley」などのブランドを扱い、成長していきます。そして真下商事の子会社として「リーミルズ エージェンシー」 を設立しました。それまで百貨店中心であった販路をセレクトショップへと大きく変更するとともに、小売業にも進出し、30 年をかけて日本市場で「John Smedley」を育て上げてきました。それに伴い、真下商事で扱っていた「Johnstons」「DENTS」「Pantherella」もリーミルズ エージェンシーで販売するようになりました。状況が変わっても、質の高い商品を誠実に売っていく、という姿勢には変わりはありません。

真下商事は、イギリスブランドの中でも、誠実なもの作りを続ける歴史あるブランドを扱っています。ロイヤルワラントを授与されている 「DENTS」を始め、伝統と物作りにおけるストーリー性を持ち、高度な技術や品質の高さが評価されています。そのようなブランドを扱っていることの責任と意味を、改めて思い返す必要があるとも感じています。今でもサンプル品が届けば一番に駆けつけ、隅々までチェックしています。決しておろそかにしてはいけません。ブランドの名に恥じない品を、お客様に提供していく責任があると考えているからです。

イギリスのこだわりと伝統のあるファクトリーブランドを取り扱う会社は、日本では稀で貴重な存在だと思います。私達は、今後もファクトリーブランドビジネスに対する姿勢を変えることなく、英国製品の魅力、伝統ある老舗の魅力、熟練工と機械生産が融合した手のぬくもりを感じる製品を 多くの方々に認知、共感していただけるよう、前向きに確かな歩みを続けて、会社の理念「小さくても強い会社」を全うしていきたいと考えています。

1905 年 石垣庄八が大阪市にある石垣商店の新会社として大連に株式会社大連浪華洋行を設立
1945 年 終戦により ( 株 ) 大連浪華洋行、事実上の解散
1951 年 真下信蔵が東京・日本橋に株式会社真下商店を創業 ニット製品を中心とした卸販売を開始
1960 年 貿易の自由化に先立ち、欧米諸国の有名服飾雑貨、繊維製品メーカーとの取引を開始
1960 年代 DENTS社製品を販売開始
1966 年 資本金を 1000 万円に増資、社名を真下商事株式会社に変更
1988 年 ( 株 ) リーミルズ エージェンシーを設立
1998 年 PANTHRELLA社製品を販売開始
2018 年 子会社 ( 株 ) リーミルズ エージェンシーを(株)メルローズに譲渡
本社を目黒区東山に移転
2019 年 ALAN PAINE社製品を販売開始